【小説】泡になりたい、君と。〈No.1 プロローグ〉
午後二時。僕は近所の大きな交差点に掛かっている歩道橋で黄昏ている。それだけだ。至ってシンプルな日常。信号が青に変わる。それとほぼ同時に片方の時間が止まり、そしてもう片方の時間が動き出す。僕はそんなくだらない小さな空間の動きに目を凝らしている。何を学び取るでもないが僕にとってこの一連の動きがやたらと胸の奥を熱くさせるのだ。顔をあげるともちろん太陽が視界に姿を現す。今日の太陽も相変わらず僕と目を合わしてはくれない。そんなことで悲しんだりするほど心を病んだりはしてはいない。ただ少々いつもの僕ではないような感覚を覚える。ただそれだけのことだ。
たった数秒前に僕の肺をくぐり抜けて、口から出て行った二酸化炭素はもうどこまで天に近づいただろうか。目を瞑ると今まで気づくことのなかった風の存在を知ることができた。それもどうやらひとつではないようだ。右後ろからやって来たかと思うとまたすぐに正面からやって来ては僕を打ちのめそうと牙を剥く。しかし僕はといえば大してそいつらに敵対心を持つことはない。意外とのんびりとした心持ちで彼らを対処することができた。
何かを得るためには何かを捨て去らなければならない。それは絶対の法則である。自分の選択は他者による選択ではない。外的要因に惑わされて決断をすべきではないのだ。つまり選択の意思は他者との介在によって判断を仰ぐことではないのだ。自分自身で全てを決めることなのであり、つまり責任は全て自分ひとりに振りかかるものなのだ。
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muffノムラです。
今年もよろしくお願い致します。
今年は小説というか、文章を書いていく一年にしたいと思います。
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不安定な木曜日, ノムラカズユキ