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2012年11月14日水曜日

【取材:丹波】やまひで猪肉店の話 最終回 イノシシのキャンキャン(通称イノキン)を食べた

前回までの連載記事はこちら

 最終回  イノシシのキャンキャン(通称イノキン)を食べた 

 

 

おっちゃんへの約2時間の取材僕にとっては衝撃的で、そして神秘的な時間だった。


イノシシをさばいている最中だったにも関わらず、貴重なお話をしてくれたおっちゃんに
感謝の言葉を告げ、チャイと帰ろうとしたとき、おっちゃんは僕を呼び止め、何かを握らせた。





丸かった。





大きい玉子のような形だった。よく玉子のサイズでMとかLLとか、各大きさに分けられ販売されているが、僕が持ったものは「6Lぐらいかな」ととっさに思った。 





それらは2つだった。





「まだあったかいやろ?」  と、おっちゃんは楽しそうだ。





確かにほんのりあったかかった。





もう勘のいい皆さんならおわかりでしょう、
おっちゃんが僕の両手の上にそっと置き、優しく握り締めさせた2つのそれは
イノシシのキャンキャンだった。
正確に言えば、僕は右手にiPhoneを持っていたので、2つのキャンキャンのうち
1つはiPhoneの画面の上に置かれ、そのまま握り締めさせられた


「これはなあ、ほんまにすごいんやで。精力がついてなあ、これ食べたら夜寝れへんわ、わっはっはっはっはっは・・・・」




すごいものをもらってしまった。



ボロ家に帰宅後、それは静かに他のチャイの肉と一緒に冷凍庫にしまった。





その週末、大学時代のバカな友人3人が初めて僕のボロ家に遊びにやってきた。
※その3人の中にmuffカナザワケントもい

自慢のテラス席で、丹波の黒枝豆とラーメン屋勤務のシミズが作ったチャーシュー&メンマをつまみつつ、僕が作った炭を使って丹波の地鶏を焼き上げ、瓶ビールを飲んだ。

最高に美味しかった。


右からシミズ、オオカワ、カナザワ、フジモト



夜も深くなり、そろそろと思い、僕は解凍していた2つのキャンキャンをそれぞれ半分に切り、
友人3人の前に持っていった。

さすがは、長年の友人3人、僕の雰囲気を感じ取り、怖い表情で「なに、これ?」と聞いてくる。
   
僕は真剣な表情で、七輪に向かった。
 
2つのキャンキャンをそれぞれ半分に切ることで、ちょうど一人半分ずついただくことになる。
 
お世話になったおっちゃんの顔が脳裏よぎる
 
僕は無心で焼き上げ、こんがりと色付いたそれらを目で合図し、皆に振る舞った。
 


以下は、友人3人の食べた感想だ。




友人①カナザワケントの証言


(五つ星評価)
噛みごたえ★★★★★
見た目★☆☆☆☆
くさみ★★★★★
グロテスクさ★×50


焼く前の見た目は繭のようであり、触れればまるで天使の頬のように柔らかく儚げであるが、一度火を通すとみるみる内に硬化し始め、それはまるで裏返したウインナーと砂ズリの愛息子の様に、異質でショッキングな姿と成り果てる。その昔近藤真彦が名曲ミッドナイトシャッフルでこう歌っていたのを思い出した。「天使のような悪魔の笑顔」と。


ひと噛みすると頭の上に「!?」のマークが浮かぶ。意外や意外。臭くない。しかしぬか喜びは二回目以降の咀嚼で脆くも崩れ去ることとなる。噛めば噛むほどになんとも言えない、旨味ゼロなのに強烈な風味と微かなアンモニアの香りが口中を満たす。なおかつなかなか飲み込めるまでの形状にはいたらない。早く飲み込みたいけど飲めない。それはさながらデモ隊と警官隊の膠着のように、どちらかが踵を返すまで続く禅問答のようだ。噛むほどにゆがむ表情は他人事なら笑っていられるが、改めて自らの事となると重大極まりない。唾液に溶け出すエキスを、喉が通過するのを拒む。辛い。辛すぎる。


やっとの思いで飲み込んだとしてもその後のゲップで記憶が揺り戻す。食後感の悪さも大きな特徴だ。ちなみに私はポン酢をたっぷりつけて口に放り込んだのだが、「こんな物着てられるか!」と野生のターザンが始めて都会に来て正装をした後の顛末のようにためらいも無く脱ぎ捨てられて口中で雄叫びをあげられてしまった。そう、イノキンとは、我々生半可なファストフード文化に慣れすぎた「ゆとり口」に解き放たれた、余りにも粗暴な野生児なのである。


………今思い出しても身震いがしてしまう。
もう、思い出したくもない。
勘弁、して、下、さい……。










友人②オオカワタクミの証言



 でかい、くさい、まちがいない。









友人③シミズサトシの証言 



いやーなんと言うか男の中の男と言うか、キングオブキンマと言うかキンマの中のキンマと言うか、キンマここにありと言わんばかりの圧倒的存在感、重量感、横綱で例えれば雷電そう雷電爲右エ門。
おっいで例えれば篠崎愛。EXILEで例えれば剃り込みの人。AKBで言えば秋元康。といった感じです。

味?あー砂肝ぽいよ






もう何も言うことはない。



僕は今、おっちゃんへの感謝の念と、この秘境・丹波にやってきたことへの幸福感に満ち溢れている。
 


【取材:丹波】やまひで猪肉店の話  完




≪やまひで猪肉店へのお問い合わせはこちら≫

電話番号:0795-75-1773 

住所:兵庫県丹波市春日町栢野1064
 
やまひで猪肉店のご紹介

ご質問はフジモトにいただいても構いません。
本物しか扱わないやまひでさんとこの猪肉の牡丹鍋をこの冬はぜひ。

フジモト連絡先≫
fujimotv@gmail.com
 
 
ど田舎の水曜日,フジモトユウキ