初めまして。
藤本氏よりオファーをいただき、投稿させて頂く事になりました。
カズ こと 前田和範(マエダカズノリ) と申します。
ゲストライターという事で、恐縮ながら光栄に思い引き受けさせて頂きました。
申し遅れましたが藤本氏の大学時代の先輩にあたります。恐縮ながら。
実を言いますと私、今、アメリカはシアトルに滞在しております。
細かい話をすれば長くなるので詳しい経緯は割愛しますが、
ざっくり言うと要は、会社を辞めて大学院生になり、夢の途中でアメリカに来たというところでしょうか。
先日の藤本氏の投稿にもありましたように、「働く」という事を自分なりに吟味した結果、今ここに至っています。
現在は「スポーツマネジメント」という分野を勉強中で、地元をスポーツで盛り上げたいと日々精進しています。
そうして、野球チームにインターンシップ(Lvアップのための経験値稼ぎ)をしにきた、というわけです。
こちらへ来て1ヶ月程度、ホームシックにも日本食が恋しくもなりませんが、
畳の匂いが恋しくなったあたり、私はやっぱり日本人だなぁと感じている今日この頃です。
私の今回の米滞在期間は3ヶ月です。3ヶ月と言えば「生活」と言ってよいでしょう。
「旅行」では体験できないことをここでは語りたいと思います。
アメリカで散髪
散髪と言えば「生活」の必須イベントですよね。
あろう事か出発前に髪を切り忘れてしまった私、こちらへ来てわずか3週間程で髪を切りたくなってしまいました。
・・・さて、困った。
何が困ったかと言いますと、まず「美容院」などというものはこちらにはありません。
都会に行けばあるかも知れませんが、ここは西海岸の片田舎。
さらに言葉の問題。日常英会話こそ話せるものの、「ここをもう少し短く」とか「もみあげをどうこう」とか
「えりあしをどうこう」とか、詳細に指示をする自信などありましょうか、、いや、ない。
そしてさすがはビッグアメリカ、「ワッツアップ兄弟」的な感じで誰もがワイルド且つファンキーに接してくれますが、
髪型までワイルド且つファンキーになるという事を受け入れられる程、私はまだアメリカナイズされておりません。
・・・悩んだ挙げ句、やはりここは一番身近なホストファミリーに相談。
すると母ダイアンは、
「私、いっつも海軍基地で切ってるのよ。マイケル(父)もね。彼が元海軍だから、私と一緒に行けばあなたも中に入れるわ!空母とかも見られるし、今度連れて行ってあげるわ、ね!いい機会ね!しかも8ドルよ8ドル!私も髪のびたし切りたいわ!」
・・・まさかの展開である。
海軍基地?空母??
・・・え、めちゃめちゃそそられる。めっちゃ見たい。
でも待って?・・・海軍基地の散髪屋?たしかに安いけど。。
これは嫌な予感しかしない。
マエダカズノリ脳内海軍イメージ |
海軍基地のカリスマ
・・・そのわずか2日後。いざ決戦の時。
いざ海軍基地へ入ると、そこは迷彩服に身を纏った猛者達がたくさん。
女性の軍人さんもいっぱい居て、素直に、「おぉ・・アメリカだなぁ。」と感動を覚えました。
空母も実際見ると圧倒される程の感動。
・・・がしかし一方で不安は隠せず。
海軍基地をぶらりと一周し、ついにその時がやって参りました。
※まさか記事にするとは思っていなかったので、散髪屋の写真は撮っていません。
申し訳ありませんが、イメージでお楽しみください。
外観は普通の床屋といったところでしょうか。赤と青のグルグルもついちゃってます。
まぁ海軍基地と言えど、軍人さん達が普通に生活をする場所。お隣はSUBWAY(ファーストフード店)になっています。
店内に入ると、左に待合所、右に鏡と5席程の散髪台というレイアウト。
もちろん待合所には2、3人の軍人さん(角刈りの)・・・ついに来たか・・・。
というか、みんなすでに髪みじかっ。どうやら整える専門みたいですね。
そして何より、散髪台に違和感を覚えずには居られませんでした。
なんと、皆さん鏡を背にして=待合所の方を向いて髪を切っていらっしゃる。
・・・え?鏡の意味は??
まぁこれは最後の仕上げだからだろうなと思いながら、待合所にて待機。
しばらくすると母ダイアン(海軍基地散髪歴10年)に呼ばれ、一人のカリスマ美容師ならぬカリスマ散髪屋を紹介してもらいました。
白人でタトゥーのばっちり入ったイカしたおっちゃんである。
ダイアン(以下、母)「彼の名前はマーク、とっても腕が良いのよ!あなたの理想の髪型にしてもらえるわ!私が保証するわ!」
マーク(以下、マ)「ヘイ、ブラザーよろしくな!なんとでも言ってくれよ!」
私「お、おうブラザー・・・」
そんなぎこちない会話もよそに、早速散髪のスタート。
・・・皆様お察しでしょうか。そう、鏡には背を向けたまま。
マ「どんな髪型にしたいんだ?」
もうどうにでもなれと半ば投げやりになり、まずは難しいとはわかっていたものの予習しておいた英語でトライ。
私「とりあえず横と後ろは刈り上げでいいや、前髪は短めで、もみあげはやりすぎないでね、あとてっぺんは・・・」
マ「・・・お、おいちょっとまて、これでそれをどうしろと言うんだよ?(バリカン片手に)」
私「えっと、だから・・・・(再び説明)」
マ「え、そんな難しい事を言わないでくれよ・・・」
私(・・・まじでか。どこがカリスマや・・。)
・・・ラチがあかないので、もう意を決しました。私。
私「じゃあ、オマカセで!」
マ「よしきたぁ!(若干食い気味)」
そう言って笑顔になったマークは、あろう事か前方からバリカンを入れ始めました。
これは終わった・・・しかも鏡は背後。なんで?
・・・結局最後まで一度も、変わって行く自分の姿を見る事なく、しばらくすると散髪は終盤へ向かっている模様。そして、
マ「・・・できたぜブラザー!!どうだ?」
と言いながら、手鏡を差し出すマーク。
・・・え、それがメインの鏡?それとも後ろ姿が大事ってこと?(多分違う)
とは言いつつも、一番肝心なのは自分の髪型ですよね。手鏡を覗いてみると・・・
(※イメージ図) |
・・・・・これぞ見事な角刈り・・・そう、マークは角刈りのカリスマでした。
嫌な予感が見事に的中してしまいました。
レッツゴーオールザウェイ
私(これはあかん、恥ずかしすぎる。。)
(いや、でもこれがアメリカではイケてるんか?)
(いやいや、さすがにあかんやろ?)
(坊主の方が絶対まし、でもマークめっちゃ満足げやし・・・)
いろんな想いが頭をよぎりました。
マ「どうした?これじゃあだめなのか?」
母「フフッ」
待合所にいる母ダイアンは謎のウインク。
決断を迫られた私は・・・
「・・・レッツゴー、オールザウェイ!!!」
というわけのわからない英語(坊主にしてくれと言いたかった)を吐き捨て、笑顔とジェスチャーで頭をゴシゴシ。
少し不満そうなマークをよそに、大学生以来のきれいな坊主頭ができあがりました。
母「アーユーハッピー?(その髪型に満足してる?)」
私「オフコース!(もちろんさ!)」
母「8ドルだもんね!安いわよねぇー!」
・・・こうして、私たちは海軍基地を後にしました。
これらの経験から学んだ事は二つ・・・
「英語もっと勉強しよ。」「やはり文化は違う。」
そしてこちらへ来て、「言葉」は時として必要はないけれど、言葉が通じないだけで小さい事すらできなくなる事がわかりました。
しかも、アメリカは実力社会。発言しないとどんどん放って行かれる。言葉が通じません、では通じません。
そういう意味では、レッツゴーオールザウェイとでも言えた自分を少し褒めてあげたいと思いました。
・・・坊主最高。
ええ勉強です。海外生活。
来客は金曜日,マエダカズノリ