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2012年10月12日金曜日

【来客は金曜日】ここが変だよ、エスパーニャ!


ここが変だよ、エスパーニャ!



2009年10月、ギリシャを震源地とする欧州債務危機が起こり、
ユーロ圏の国々を巻き込んでからまもなく3年が経とうとしている。



そして、その経済危機の被害を最も被った国の一つがスペインだ。



EU統計局(Eurostat)が毎月発表している、スペインの失業率を参照してみると、2012年8月31日に公表された同年7月分の値は、なんと



25.1%!!



国民の4人に1人が仕事をしていないことになる。
(ちなみに日本は6月分の値で4.3%)



そして、より特筆すべきは若年層(25歳以下)の失業率である。それはなんと



52.9%!!!



若者の半分以上が手に職を持っていないのだ。わかりやすくするために同じように日本と比較してみると、総務省統計局が公表している労働力調査によれば、15歳~24歳の年齢層における完全失業率は8.3%だという。



ここまでで、スペインという国が抱える問題の深刻さをお分かりいただけたと思う。



しかし、なぜ僕はこんなデータを引っ張りだしてきたのか。




それは、僕自身、スペインはバルセロナに10カ月ほど留学していたが、こんな深刻な問題をスペインが抱えているということを感じなかったからである。




もちろん、スペイン滞在中にニュース等で若者の失業率が報じられているのは何回か見たことはある。また、僕自身が出会ったスペイン人たちというのが、偶々そういった問題からはほど遠い生活をしている人達だっただけなのかもしれない。しかし、様々な都市でスペイン人たちと接していると、仕事が見つからないことに嘆いている様子も見せず、まるでそんな問題なんて存在しないとでも言うような振る舞いをするのだ。




ここでは、僕が経験したそんなスペイン人たちを紹介していきたいと思う。別にスペイン人の悪口を言おうとしているつもりは毛頭ない。




大好きなスペインの、
スペイン人の“良いところ”を紹介したいのだ。




もしかしたら、「スペイン人は問題を度外視する責任感を持たない国民だ」と感じる人もいるかもしれない。もしくは「独首相のメルケルさんも大変だなあ」と同情の念を抱く人もいるかもしれない。



ただ僕としては、日本人がなかなか持たない、物事を楽観的に、なおかつポジティブに考え、自分の人生を最大限に楽しむスタイル・考え方を感じていただけたらと思う。



ケ・セラ・セラの、のんびりしたスペイン人たちを篤とご覧あれ。



タクシー運転手の例


僕がスペインのバスク地方にあるサン・セバスティアンという都市に旅行した時の話である。



僕は根っからのサッカー好きで、旅の行く先々でサッカー観戦をするという習慣があった。



この時も、サン・セバスティアンをホームとしている「レアル・ソシエダ」というチームの試合観戦を行う予定であり、訳あってこのチームの下部組織と縁があったので、いわゆるユースチームの試合も観戦することになっていた。



ユースチームの試合が行われるのは「スビエタ」という名の練習場で、市内から離れた郊外に位置している。そこまでのバスも出ておらず、僕に残された唯一の交通手段はタクシーだけだった。



市内から練習場まではタクシーで20分ほどで到着し、試合時間も余裕を持って向かえることができた。ただ、問題は復路に起こる。



手帳に控えてあるタクシー会社の電話番号に電話し、スペイン語で自分の場所、名前を言ってタクシーを手配した。電話口のスペイン人(ここではバスク人と称した方が適切か)は、「大体15分ぐらいで到着するよ」と言っていたので、練習場入り口付近で時間を潰していた。



しかし、



一向に来ない。








30分近く経ってようやく一台のタクシーがやってくる。








運転手は着いて早々、申し訳なさそうに「遅れてすみません」と言ってきた。そして、二言目には「いやー迷っちゃってねー」と言い訳をしてきた。この言葉で、僕ら日本人が思うタクシー運転手とは両極端にいる人種だと気づかされた。



半ば呆れながらも、「日本の常識が通じないのがスペイン」という考えはある程度身に付いていたので、「大丈夫。大したことないよ。」と余裕あるアジア人を演じて、乗車した。



助手席に座って行き先を運転手に告げ、晩飯はどうしようかと考えていた矢先、おかしな光景が目に飛び込んできた。なんと料金メーターが往路の料金の倍を示しているではないか。



あまりにもあり得ない状況だったので、しばらく様子を見てみることにした。




しかし、乗車時の料金以外はおかしかったものの、その後はいつも通り一定の距離を走る度に一定の値段が加算されていく。




頭の中でいろいろと理由を考えてみたが、どうにも「この運転手はこのアジア人からぼったくろうとしている」という理由しか見つからない。




こういう時は黙っていたら負け。ここは敢えて普通のトーンで運転手に尋ねてみた。




「何でこんなに料金が高いの?行きの時の料金の倍以上はあるんだけど。」



「ああ、これね。さっきも言ったと思うけど、スビエタまで来るのに迷っちゃってさ。たぶん、迷って行ったり来たりしてる間に料金が上がったんだと思う。」





いや、待て待て待て。なんで、この運転手は質問に対して真っ直ぐすぎる返答をしてくるのか。最早バカを通り越して返答がピュアすぎる。これほどまでに純一無雑という四字熟語が適当な人間がいただろうか。



「いや、そうじゃなくて、僕が払うべき料金は僕が乗車したスビエタから、行き先であるサン・セバスティアン市内までの料金でしょ?つまり、あんたが迷った分だけ払う必要はないんじゃないの?」



「ああ、確かに言われてみればそうかもしれないな。わかった。



これをリセットするよ。



と言った瞬間、メーターをゼロに戻した。市内まで20分までかかるところ、すでに10分以上走った場所でだ。




「え、今ゼロに戻したら、料金安くなっちゃうよ?」



言わなくてもいいのにこっちまで、余計な心配をし始めてしまう。



「確かにそうだけど、俺のミスだからね。しょうがないよ。おたくは気にしなさんな。」



こういう時に「やれやれ・・・」という言葉を発するのか。



「それはそうと、あんた日本人だろ?」



「そうだけど、何でわかったの?区別できるの?」(あっちの人は我々アジア人を引っ括めて“中国人”と言う)





「いや、実は日本人の友人がいてさ、そいつもおたくみたいに“良い人すぎる”んだよ。」





なんとも小説のような言い回し。でも、こう言ったのは今でも鮮明に覚えている。そして、彼の性格から察すれば、到着後徴収した料金が行きの半額だったのは言うまでもない。



満を持してこう言いたい。



ここが変だよエスパーニャ!!

つづく

《ヨーロッパ統計局(Eurostat)の8月31日のデータ》
http://epp.eurostat.ec.europa.eu/cache/ITY_PUBLIC/3-31082012-BP/EN/3-31082012-BP-EN.PDF  (3ページ目、4ページ目の表のESの欄)

《総務省統計局の労働調査》
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf  (6ページ目の15歳~24歳の完全失業率の欄)

来客は金曜日, ハマダナオキ

2012年10月11日木曜日

【お知らせ】誠に勝手ながら、本日は臨時休刊日とさせて頂きます

いつもお世話になっております。
muffのノムラです。

誠に勝手ながら、本日は臨時休刊日とさせて頂きます



ちなみに明日の【来客は金曜日】のゲストライターは、
わたくしの大学の友人であり、ただのサッカー馬鹿、されどサッカー馬鹿の
サッカーライター、ハマダくんの登場です。

※ハマダくんの詳しいプロフィールは「mufufupeople」の一番下をご覧ください。

お楽しみに!!


2012年10月10日水曜日

【観光案内】日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ③

本日10月10日は、グレゴリオ暦で年始から284日目にあたり、年末まであと82日です。
(風見しんごの誕生日でもあります)

ありがとうございます、ど田舎の水曜日担当フジモトユウキです。

それでは、本日も引き続き『日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ』の続きといきましょう。
(ついに、やっと、自宅出ます。)

前回までの記事はこちらです。

【観光案内】日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ②
【観光案内】日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ①


日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ③

ああ、舟屋民宿


息を吹き返した私の長年の相棒、「TW200」
渾身のキックをし続け、なんとかエンジンがかかった。

火照ったわたしと「やっとかよ」顔のりょうこを乗せ、順調に風をきり、日本海を目指す。

途中、天橋立などにも寄る。が、わたしの頭の中はやはり伊根町の舟屋でいっぱいなのだ。

チェックインは3時と聞いていた。

だから少し気を遣って3時10分に到着した。


準備のフジモトにとっては、これぐらいの時間配分などは朝飯前なのである。


本日の宿泊先「舟屋民宿たいせい」


一応看板は出ている&HPで見た佇まいはしているが、人の気配なし。
はっきり言って、ぶっきらぼうな外見だ。

「本当に(営業を)やっているのか・・・」

思い切って扉をガラガラとスライドさせると、これが舟屋かと感動、こんな感じだ。



1階の奥はそのまま海へとつながっている。漁のための倉庫兼作業場のようになっていた。

かっこよかった。渋さを感じた。男の作業場って感じがぐっときた。


じっと見とれていると、一人の若めの愛想のいいお兄さんが僕らを見つけ、声をかけてくれた。

「今日の宿泊のお客さん?ちょっと待ってて。大将呼んでくるから!」

そう言って舟屋を出て、向かいの大きな家に入って行った。

お兄さんの来ていた長袖シャツの背中にはイギリスの国旗が描かれていた。

後からわかったことだが、このブリティッシュ兄やんは去年東京でのサラリーマン生活を辞め、
これまで何度も来ていたここの舟屋で大将の弟子となり、漁師の勉強をしているらしい。
出身は九州らしく、確かに少しなまっていた。


少し経って、大将ではなく、奥さんが出てきてくれた。
もう、見るからに優しい、海に生きる漁師の奥さんという風貌。
すぐにお部屋に案内してくれた。

奥さん:夕食はございませんが、大丈夫ですか?

わたし:あっ、大丈夫です。お部屋でコンロとか使っても大丈夫ですか?

奥さん:大丈夫ですよ〜


わたし:明日の朝の漁にお邪魔じゃなかったら連れて行ってもらっていいですか?

奥さん:大丈夫ですよ〜。それでは少し早いのですが5:30に1階の作業場に集合してください。

わたし:漁に出てから朝食ですか?

奥さん:はい〜、イカが捕れましたら朝食でお刺身にしますね〜


わたしの涙腺は弛んだ。

わたしは物心ついたときには、既にイカが大好きだった。
だから「イカが好きだったのはいつからか?」と聞かれてもわからないのだ。
記憶にあるのは、いかそうめんを何本も一気に食べていたデブの小学生時代。

ひとり感動するわたくし、フジモト。

横には「朝の漁、眠たかったら別に行かんでもええやろ?」と言うりょうこ。

まるで反比例する感情、情熱⇔冷静


とはいえ、2階のお部屋は素晴らしかった。

決して豪華、充実設備のお部屋とは言えないが、シンプルイズベスト、大きな窓からは
ゆっくりと波打つ海が見え、窓の前に小さなテーブルと椅子さえあればそれで良かった。

テーブルの上に置いてあったパンフレットに目をやる。





ここで初めてここ京都府伊根町が「日本で最も美しい村」の一つに指定されていることがわかった。
現在では44の村が登録され、日本の小さくても素晴らしい地域資源や農山村の景観、環境・文化を
守る活動がなされています。

お手本にしたのは「フランスで最も美しい村」活動らしいが、今やこういった活動はフランスのみならず、
イタリアやベルギー、カナダなど、世界中でさかんに行われているとのこと。
既存のガイドブックには載っていない小さくても美しい村々が、自らの手で地域活性化され、
観光を中心に新たに注目されるきっかけをつかんでいる・・・・

その一つの村に今、わたしは来ているのか・・・

思わぬ誤算、ハッピーなニュース、サプライズ、どっきり・・・

わたしの脳裏にはそんな言葉が浮かんでは消えるの繰り返し。

わたしはさらにテンションをあげ、気付けばパンツ一丁になり、用意されていた浴衣に着替え、
中タオルを頭に巻き上げていた。

わたし:おい、りょうこ!ここは「日本で最も美しい村」の一つらしいで!
      the most beautiful villages in japan やで!!
      ここの紹介文読むで!!
      「京都府伊根町は、古くから漁業で栄えた町。伊根浦舟屋群は、重要
     伝統的建造物群保存地区として国に選定されている。海ぎわに建て
     られた舟屋群は、海に浮かぶように見え独特の風情がある。」
      やってよ!!!

りょうこ:へー(敷かれていた布団に寝っころがり、テレビを見ながら)


ぼくは1時間ほど窓際の椅子に座り、外を見ていた。

日がゆっくりとかたむく。

「ニャー」とウミネコの鳴く声、イカ釣りに奮闘する釣り人、ゆったりと静かに波打つ海・・・

わたしは動けなかった。

わたしは動けなかった。

わたしは動けずにいた。


動けずにいるわたしにりょうこはこう言った。


「お腹へってきた」


よし、買い出しにいこうか。なんていう日だ。生きてて良かった、丸儲け。


外は素晴らしい夕暮れ。

少し肌寒い潮風がわたしたちを包み込み、わたしはゆっくりとTW200のエンジンをかけた。

(ちゃんと一度でかかりました。)


舟屋民宿たいせいにて




つづく

ど田舎の水曜日,フジモトユウキ







2012年10月9日火曜日

【観光案内】浅草を1万円で呑み歩くー後編ー


神谷バーの洗礼

なんだかんだありまして(前編はこちら)、午後1時過ぎ、ぼくは聖地・神谷バーへ辿り着いた。



浅草一丁目一番一号

この堂々たる住所。改めてここが浅草はじまりの地であることをしみじみと感じる。


神谷バーをご存知ない方のために神谷バーについて簡単に説明したい。

神谷バーは日本で最初にできたバーであり、開業130年ほどになる老舗店だ。
そして神谷バーと切っても切れないのが「電気ブラン」というお酒。
神谷バーの創設者がつくったこのお酒(ブランデーベースのカクテル)は当時アルコール度数45度(現在は30度と40度の2種類)と非常に強く、ビリビリと舌がしびれる感覚から「電気」の冠がつけられ電気ブランと名付けられた。
当時「電気」というものが珍しく、「ハイカラな飲み物」という意味合いもあり、多くの文豪やマダム達に親しまれたという。

こんなアルコール度数の高い阿呆みたいな酒をハイカラだなんだといって嬉しそうに呑むんだからやはり昔の人はクールだ。


神谷バーに入るとまず最初にするのが注文&清算だ。

入ってすぐに会計がありそこに常時立っているお姉さんに注文し、お金を払い好きな場所へ着席。
モノを待つ。
追加での注文はボーイさんを呼びつけ注文&清算というキャッシュオン形式。なんともハイカラなシステムだ。

そこでぼくは電気ブランと生ビール小を注文(ここでの小は世間一般でいうところの中。神谷バーに生ビールは小・中・大とあるが、大ともなればそれはしょうもない大学生がネタで頼むような1リッターサイズである)。

電気ブラン250円、生ビール小500円


神谷バーでは電気ブランにビールをチェイサーで注文する。
これが、通常、普通、常識、スタンダード、一般的な飲み方とされ、神谷バーが推奨している飲み方でもある。

しかしそれはただの一般的な飲み方にすぎない。

ぼくの隣では電気ブランを二つ並べて焼き鳥をほおばるおっちゃん(前歯がないのでえらく食べにくそう)、前方には文庫本を静かに開き生ビール大をおかわりしている白髪紳士、斜め前方のテーブル席には4人組のめかしこんだマダムが電気ブランをソーダで割ったようなものを、そして極めつけは斜め後方のおっちゃん。


電気ブラン3つ並べて鍋焼き。

なにこの心躍る感覚。

追加注文なぞ一切する気のないこの姿勢、なにが入ってるのかしらんがグツグツとする鍋。

その隣ではカニクリームコロッケ定食を食べる親子(神谷バーは洋食屋の一面も持つ)。

ここでぼくは胸がはち切れて死亡。
電気ブランをおかわりした。


そしてフラフラになって神谷バーをでたぼくを午後4時前の日の光が迎えてくれた。
いつも通りの「普通な」空間が広がっていた。




天然 浅草観音温泉

神谷バーを後にしたぼくは、ぐわんぐあんの頭を抱え、浅草観音温泉へ歩を進めた。



どうですかこの風貌、立ち姿。ほんとに営業しているのか?と人を不安にさせるに十分な条件がしっかりと揃っているでしょう。
がしかし営業時間は6:30〜18:00。しっかりと朝方営業しています。

そしてここで注目してもらいたいのは一番上についている「天然」という二文字。

まあそれは一度置いておいて、入湯料700円を払い中へ。



ハイカラだハイカラ。


もうどこから手を付けていいのかわからない。
お気付きというかそりゃ嫌でも気づくし、気をつけるっていったって…
ビデオ撮りってなによ、いま撮影されてるの?ていうかもう、なに、
荒師っていうんだ…あぁもう…疲れた…なんか左側暗い


注意事項は2点のみ。
後ろに人魚のタイルが眩しい。最高。壁はグリーン。最高。最高なんだよ。

とまぁ湯に入る前にもうへろへろ。

いや、これから入るんだからへろへろになっておいて損はないんだけど。

と言ってる間にぼくは全裸。湯船に向かった。


黒い…え…?

湯船が黒い。くそまずい珈琲みたいな色してる…

恐る恐るぼくは湯をすくってみたところ発覚したのは湯は透明であり、
湯を受けている器、つまり、浴槽が湯垢で真っ黒ということだった。

なんだ、歴史ね。

そうつぶやきぼくはちゃぽんっと入ろうと足をつけた瞬間、

あついっ!!!!

とても熱かった。壁をみると「TOO HOT」の文字。(よく覚えてないけどたしかそんなかんじのことが赤字で書いてあった)

すぅっとゆっくり入浴したぼくはようやくゆっくり疲れを癒そうとしたその瞬間、鼻を突く塩素の香り。

思い起こす「天然」の二文字。

「保健所の指導で塩素ボール投入しちゃってるんだけどプールよりは濃度低いから安心してね」

という旨の注意書きがそれとなく貼ってあった。

最高すぎてぼくはもうどうにでもなれと思った。



さらば浅草、また会う日まで


ひとっ風呂浴び最高な気分で午後5時。


ぞろぞろと飲み屋が立ち並ぶ通称「ホッピー通り」で湯上がりの一杯をキメた。

そして締めにうどんをぺろりと平らげたぼくは、

最高の一日をありがとう、と花やしきに一瞥をくれてやり午後6時半、家路についた。



今回の浅草豪遊ツアー締めて7,910円也



ひとり歩きの火曜日,ツノダヤマト

2012年10月8日月曜日

【コラム欄】地デジな今こそ、驚くほどシンプルにいこう



家のテレビのリモコンが少し複雑







家のテレビのリモコンが複雑だ。
もっと複雑なものはゴマンとあるのは百も承知な上ではあるが


それにしても複雑だ。
単刀直入に言って使いこなせない。


自分としては、頭の方にギュッとなってるデザインってあまり好きじゃない。
バランスが良くないのと、どうしても頭でっかちな感じがするからだ。


それに長い。
片手で操作していると、番組表を見ようとする度に指がつりそうになるし、
ちょっとバランスを崩すとあっという間に重心が倒れた方に向かってしまい
スルスルと落とすこと、ざっと幾千回といったところであろうか。


頭の方にギュッとなってるボタン達は
ぶっちゃけほとんど使わない。
BDレコーダーの操作も兼ねることができるのだが
なにせBDレコーダーを持っていないものでね。


ともなるとやはり
みなさんのお察しの通りリモコン下半分(チャンネルボタンと音量ボタン)しか
触らなくなってしまうのである。


やはりリモコンはシンプルな方が良いのだ。
うん、毎日使う度にそう思う。


シンプルなリモコンとは


というわけで今回は
シンプルなテレビのリモコンを実例を挙げて紹介しつつ
その素晴らしさに改めて気付き合おうではないかと。
そういうことなのである。


例えば代表的な感じでいうとこういったもの。






EUPA社のシンプルリモコン。
うむ。単純に素晴らしいと思う。
やはり頻繁に使う機能だけに絞り、なおかつバランス良くボタンとして配置することで
驚くほどにスマートな印象を与えることに成功している。


シンプルだからといって機能に妥協は無く、
赤外線が出ているかどうかを確認するための赤ランプや
選局と音量のボタンの形を変えることで触感だけでの操作を可能にする
ユニバーサルさも見逃すことはできない。


シンプルということを「簡素でおもしろみが無い」の一辺倒でくくってしまう人もいるが、それは間違いだと思う。本当にシンプルなものは洗練されていて大多数の人間を魅了する。iphoneなんてシンプル極まりないデザインでしょう。シンプル万歳。


しかし、もっとシンプルなものある。




これはパソコンのマウスとリモコンが一体となった
EIZOという会社の「C@T-one」という商品。


特筆すべき点はやはりチャンネル用の数字ボタンを排除している事だろう。
これはシンプルさを追い求める上での一つの盲点といえる。
チャンネルを選択するのに数字のボタンを用意すればワンプッシュで選局できる。
しかしそれは同時に、限られたスペースに12個のボタンを必ず配置しなければならないという、まさに機能性とデザイン性のジレンマに陥ってしまうということに他ならないのだ。


「だったら排除すればいい。」
マウスとの一体化というテーマにおいて、極めて限定的になってしまうスペースの割り当てに対しての製作者側の大英断は、驚くほど省スペースで限りない整合性に満ちた商品を生み出した。


テレビのリモコンは我々の中でいつしか「四角いもの」
というイメージで固まっていたのではないだろうか。
そこにこの丸いデザイン。
シンプルと同時に革新性すらも感じさせる。
すごいぜ、すごいぞ「C@T-one」!!!!!!



どうだろう、リモコンはシンプルが一番だという持論
少しはお分かり頂けただろうか。




そして、今回最後にご紹介するリモコンはこちらだ。





まさに究極。
シンプルが極限のエゴイズムと出会った時
リモコンは衝撃というデザインをまざまざと見せつけることとなる。


なにせ入力切換ができない。
消音もできない。
実はこれ、地デジ対応なのだが、デジアナ変換なんて持ってのほか。


「あぁ!?そんなもんいらねえよ!何言ってんだよ兄ちゃん!!
ガッハハハハハハハ!!!!」


と、赤黒い日焼けに白い歯を浮かべ、満面の笑みで
一本釣りしたカツオを片手に豪快に声を荒げる夏の漁師が容易く想像できるほどの
ダイナミズム溢れるシンプルさだ。(リモコン自体は真っ白だけども。)


いやはやそのシンプルさ、誠に恐れいった。
もうほんと参りました。
勘弁してください。



結論:シンプルすぎるのもどうかと思う。


シンプルなリモコンを段階的に紹介してきたが、感じたことはやはり多少の機能は利便性を考えた上で必要だということ。シンプルさを追い求め過ぎるとそもそもの目的である「最新の地デジテレビを使ってエンターテイメントを楽しむ」という大前提を見失いかねない。それにやっとこさ大きい液晶テレビを買ったとして、上記のレッツ・リモコンがついてたとしたら、なんかすっごく悲しいでしょ?


一番最初に紹介したリモコンはソニーのブラビアのものだが
ブラビア用にはこういうシンプルなリモコンも存在する。
ぶっちゃけちょっと欲しい。


提案の月曜日、カナザワケント