コピーライターに憧れた大学時代
わたくし藤本ですが、大学時代にですね、一瞬コピーライターに憧れた時期がございまして、
あの、日常に溢れることばをセンスよく組み合わせてですね、心にスッと届ける感じ・・・
僕の中でコピーライターはまさしくかっこいい大人の職でした。
中でも、今も第一線で活躍される糸井重里さんのコピーはやはり素敵でした。
「生まれた以上は、幸せになりたい。」
糸井 重里
日本テレビ・24時間テレビ『愛は地球を救う』(1981年)
ちょっと24時間テレビのコピーにしては、重い感じがしますが、大学時代、モンモンとしていた僕にはこのコピーと出会ったときの心の響きようはすごかったんです。
もう一つ、糸井さんのビビビとくるコピーを紹介します。
「本読む馬鹿が、私は好きよ。」
糸井 重里
パルコ(1988年)
これまたちょうどですね、大学時代、やたらと小説やら哲学書なんぞを、お金もないのに「男の教養」「男の幅」を養うためにと買っては純喫茶に入り、何時間も読みあさった時期がございました。
金はないのに、時間はある。
そんな僕を糸井さんは救ってくれた。
しかもその行動が、女にモテると・・・
僕にとっては、除夜の鐘をこれでもかと連打したかのように心に響くコピーでした。
それでは、今日は最後にコピーライターは糸井さんではないのですが、大学時代のなんとも切なく、懐かしい記憶が思い出される一倉宏さんのコピーを紹介してお別れしたいと思います。
「ウイスキーの中には、俺の独立国がある。」
一倉 宏
サントリー・ウイスキー(1988年)
初めてこのコピーが掲載された上の画像を見たとき、僕はことばが出ませんでした。
なぜか。
響きすぎて。
ほんとにことばは出ませんでしたが、近くのスーパーのお酒コーナーに自然と足だけは向かっていました。
サントリーのウイスキーを買ったはいいものの、どんな飲み方をするのかわからない上に、「男はなんでもロックだろ」と思い込んでいた当時の若かりし20歳の僕は、出来るだけこの画像っぽいグラスを探してウイスキーをなみなみに注ぎ、飲みました。
ごくっ、ごくっと目をつむり、ビールのように飲む・・・
・・・もう、この日は何もできませんでした。
当時の僕は、居酒屋に行っても生中一杯で「もういいです、どうか眠らせてください」となる実に情けないモンモンでした。
そんなモンモンが自分の独立国を開くためにウイスキーを飲んでも、ただ頭が痛くなるだけでした。
非常に懐かしい大学時代の思い出です。
25歳になった僕は、あの頃の僕に比べ、少しだけお酒が飲めるようになりました。
いつか独立国を宣言できる日はくるのでしょうか。
いつか画像の中上健二氏のように、ウイスキーロックの似合う男に僕はなりたいです。
それではまた来週、お会いしましょう。
ど田舎の水曜日,フジモトユウキ