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2012年10月9日火曜日

【観光案内】浅草を1万円で呑み歩くー後編ー


神谷バーの洗礼

なんだかんだありまして(前編はこちら)、午後1時過ぎ、ぼくは聖地・神谷バーへ辿り着いた。



浅草一丁目一番一号

この堂々たる住所。改めてここが浅草はじまりの地であることをしみじみと感じる。


神谷バーをご存知ない方のために神谷バーについて簡単に説明したい。

神谷バーは日本で最初にできたバーであり、開業130年ほどになる老舗店だ。
そして神谷バーと切っても切れないのが「電気ブラン」というお酒。
神谷バーの創設者がつくったこのお酒(ブランデーベースのカクテル)は当時アルコール度数45度(現在は30度と40度の2種類)と非常に強く、ビリビリと舌がしびれる感覚から「電気」の冠がつけられ電気ブランと名付けられた。
当時「電気」というものが珍しく、「ハイカラな飲み物」という意味合いもあり、多くの文豪やマダム達に親しまれたという。

こんなアルコール度数の高い阿呆みたいな酒をハイカラだなんだといって嬉しそうに呑むんだからやはり昔の人はクールだ。


神谷バーに入るとまず最初にするのが注文&清算だ。

入ってすぐに会計がありそこに常時立っているお姉さんに注文し、お金を払い好きな場所へ着席。
モノを待つ。
追加での注文はボーイさんを呼びつけ注文&清算というキャッシュオン形式。なんともハイカラなシステムだ。

そこでぼくは電気ブランと生ビール小を注文(ここでの小は世間一般でいうところの中。神谷バーに生ビールは小・中・大とあるが、大ともなればそれはしょうもない大学生がネタで頼むような1リッターサイズである)。

電気ブラン250円、生ビール小500円


神谷バーでは電気ブランにビールをチェイサーで注文する。
これが、通常、普通、常識、スタンダード、一般的な飲み方とされ、神谷バーが推奨している飲み方でもある。

しかしそれはただの一般的な飲み方にすぎない。

ぼくの隣では電気ブランを二つ並べて焼き鳥をほおばるおっちゃん(前歯がないのでえらく食べにくそう)、前方には文庫本を静かに開き生ビール大をおかわりしている白髪紳士、斜め前方のテーブル席には4人組のめかしこんだマダムが電気ブランをソーダで割ったようなものを、そして極めつけは斜め後方のおっちゃん。


電気ブラン3つ並べて鍋焼き。

なにこの心躍る感覚。

追加注文なぞ一切する気のないこの姿勢、なにが入ってるのかしらんがグツグツとする鍋。

その隣ではカニクリームコロッケ定食を食べる親子(神谷バーは洋食屋の一面も持つ)。

ここでぼくは胸がはち切れて死亡。
電気ブランをおかわりした。


そしてフラフラになって神谷バーをでたぼくを午後4時前の日の光が迎えてくれた。
いつも通りの「普通な」空間が広がっていた。




天然 浅草観音温泉

神谷バーを後にしたぼくは、ぐわんぐあんの頭を抱え、浅草観音温泉へ歩を進めた。



どうですかこの風貌、立ち姿。ほんとに営業しているのか?と人を不安にさせるに十分な条件がしっかりと揃っているでしょう。
がしかし営業時間は6:30〜18:00。しっかりと朝方営業しています。

そしてここで注目してもらいたいのは一番上についている「天然」という二文字。

まあそれは一度置いておいて、入湯料700円を払い中へ。



ハイカラだハイカラ。


もうどこから手を付けていいのかわからない。
お気付きというかそりゃ嫌でも気づくし、気をつけるっていったって…
ビデオ撮りってなによ、いま撮影されてるの?ていうかもう、なに、
荒師っていうんだ…あぁもう…疲れた…なんか左側暗い


注意事項は2点のみ。
後ろに人魚のタイルが眩しい。最高。壁はグリーン。最高。最高なんだよ。

とまぁ湯に入る前にもうへろへろ。

いや、これから入るんだからへろへろになっておいて損はないんだけど。

と言ってる間にぼくは全裸。湯船に向かった。


黒い…え…?

湯船が黒い。くそまずい珈琲みたいな色してる…

恐る恐るぼくは湯をすくってみたところ発覚したのは湯は透明であり、
湯を受けている器、つまり、浴槽が湯垢で真っ黒ということだった。

なんだ、歴史ね。

そうつぶやきぼくはちゃぽんっと入ろうと足をつけた瞬間、

あついっ!!!!

とても熱かった。壁をみると「TOO HOT」の文字。(よく覚えてないけどたしかそんなかんじのことが赤字で書いてあった)

すぅっとゆっくり入浴したぼくはようやくゆっくり疲れを癒そうとしたその瞬間、鼻を突く塩素の香り。

思い起こす「天然」の二文字。

「保健所の指導で塩素ボール投入しちゃってるんだけどプールよりは濃度低いから安心してね」

という旨の注意書きがそれとなく貼ってあった。

最高すぎてぼくはもうどうにでもなれと思った。



さらば浅草、また会う日まで


ひとっ風呂浴び最高な気分で午後5時。


ぞろぞろと飲み屋が立ち並ぶ通称「ホッピー通り」で湯上がりの一杯をキメた。

そして締めにうどんをぺろりと平らげたぼくは、

最高の一日をありがとう、と花やしきに一瞥をくれてやり午後6時半、家路についた。



今回の浅草豪遊ツアー締めて7,910円也



ひとり歩きの火曜日,ツノダヤマト