(風見しんごの誕生日でもあります)
ありがとうございます、ど田舎の水曜日担当フジモトユウキです。
それでは、本日も引き続き『日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ』の続きといきましょう。
(ついに、やっと、自宅出ます。)
前回までの記事はこちらです。
日本で最も美しい村「京都府伊根町」へ③
ああ、舟屋民宿
息を吹き返した私の長年の相棒、「TW200」
渾身のキックをし続け、なんとかエンジンがかかった。
火照ったわたしと「やっとかよ」顔のりょうこを乗せ、順調に風をきり、日本海を目指す。
途中、天橋立などにも寄る。が、わたしの頭の中はやはり伊根町の舟屋でいっぱいなのだ。
チェックインは3時と聞いていた。
だから少し気を遣って3時10分に到着した。
準備のフジモトにとっては、これぐらいの時間配分などは朝飯前なのである。
本日の宿泊先「舟屋民宿たいせい」
一応看板は出ている&HPで見た佇まいはしているが、人の気配なし。
はっきり言って、ぶっきらぼうな外見だ。
「本当に(営業を)やっているのか・・・」
思い切って扉をガラガラとスライドさせると、これが舟屋かと感動、こんな感じだ。
1階の奥はそのまま海へとつながっている。漁のための倉庫兼作業場のようになっていた。
かっこよかった。渋さを感じた。男の作業場って感じがぐっときた。
じっと見とれていると、一人の若めの愛想のいいお兄さんが僕らを見つけ、声をかけてくれた。
「今日の宿泊のお客さん?ちょっと待ってて。大将呼んでくるから!」
そう言って舟屋を出て、向かいの大きな家に入って行った。
お兄さんの来ていた長袖シャツの背中にはイギリスの国旗が描かれていた。
後からわかったことだが、このブリティッシュ兄やんは去年東京でのサラリーマン生活を辞め、
これまで何度も来ていたここの舟屋で大将の弟子となり、漁師の勉強をしているらしい。
出身は九州らしく、確かに少しなまっていた。
少し経って、大将ではなく、奥さんが出てきてくれた。
もう、見るからに優しい、海に生きる漁師の奥さんという風貌。
すぐにお部屋に案内してくれた。
奥さん:夕食はございませんが、大丈夫ですか?
わたし:あっ、大丈夫です。お部屋でコンロとか使っても大丈夫ですか?
奥さん:大丈夫ですよ〜
わたし:明日の朝の漁にお邪魔じゃなかったら連れて行ってもらっていいですか?
奥さん:大丈夫ですよ〜。それでは少し早いのですが5:30に1階の作業場に集合してください。
わたし:漁に出てから朝食ですか?
奥さん:はい〜、イカが捕れましたら朝食でお刺身にしますね〜
わたしの涙腺は弛んだ。
わたしは物心ついたときには、既にイカが大好きだった。
だから「イカが好きだったのはいつからか?」と聞かれてもわからないのだ。
記憶にあるのは、いかそうめんを何本も一気に食べていたデブの小学生時代。
ひとり感動するわたくし、フジモト。
横には「朝の漁、眠たかったら別に行かんでもええやろ?」と言うりょうこ。
まるで反比例する感情、情熱⇔冷静
とはいえ、2階のお部屋は素晴らしかった。
決して豪華、充実設備のお部屋とは言えないが、シンプルイズベスト、大きな窓からは
ゆっくりと波打つ海が見え、窓の前に小さなテーブルと椅子さえあればそれで良かった。
テーブルの上に置いてあったパンフレットに目をやる。
ここで初めてここ京都府伊根町が「日本で最も美しい村」の一つに指定されていることがわかった。
現在では44の村が登録され、日本の小さくても素晴らしい地域資源や農山村の景観、環境・文化を
守る活動がなされています。
お手本にしたのは「フランスで最も美しい村」活動らしいが、今やこういった活動はフランスのみならず、
イタリアやベルギー、カナダなど、世界中でさかんに行われているとのこと。
既存のガイドブックには載っていない小さくても美しい村々が、自らの手で地域活性化され、
観光を中心に新たに注目されるきっかけをつかんでいる・・・・
その一つの村に今、わたしは来ているのか・・・
思わぬ誤算、ハッピーなニュース、サプライズ、どっきり・・・
わたしの脳裏にはそんな言葉が浮かんでは消えるの繰り返し。
わたしはさらにテンションをあげ、気付けばパンツ一丁になり、用意されていた浴衣に着替え、
中タオルを頭に巻き上げていた。
わたし:おい、りょうこ!ここは「日本で最も美しい村」の一つらしいで!
the most beautiful villages in japan やで!!
ここの紹介文読むで!!
「京都府伊根町は、古くから漁業で栄えた町。伊根浦舟屋群は、重要
伝統的建造物群保存地区として国に選定されている。海ぎわに建て
られた舟屋群は、海に浮かぶように見え独特の風情がある。」
やってよ!!!
りょうこ:へー(敷かれていた布団に寝っころがり、テレビを見ながら)
ぼくは1時間ほど窓際の椅子に座り、外を見ていた。
日がゆっくりとかたむく。
「ニャー」とウミネコの鳴く声、イカ釣りに奮闘する釣り人、ゆったりと静かに波打つ海・・・
わたしは動けなかった。
わたしは動けなかった。
わたしは動けずにいた。
動けずにいるわたしにりょうこはこう言った。
「お腹へってきた」
よし、買い出しにいこうか。なんていう日だ。生きてて良かった、丸儲け。
外は素晴らしい夕暮れ。
少し肌寒い潮風がわたしたちを包み込み、わたしはゆっくりとTW200のエンジンをかけた。
(ちゃんと一度でかかりました。)
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舟屋民宿たいせいにて |
ど田舎の水曜日,フジモトユウキ