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2013年2月20日水曜日

【タンヴァのひと】ヨシズミという後輩②「足首をぐねったら終わりだ」そこの観点をぼくは重視しましたね


どうもいつもご愛読ありがとうございます、ど田舎の水曜日担当フジモトユウキです。

お待たせいたしました。

前回予告していましたとおり、今回はいよいよ後輩ヨシズミくんの独占インタビュー記事です。
 
先週は「早く読みたい」「楽しみにしている」という声と、

「どうせつまらないくせに引っ張るな」そんな声を耳にしました。

そんなすべてのご愛読者さまへ、フジモト渾身の記事をお送りいたします。

最後までお付き合いくださいませ。



前回の記事はこちら

【タンヴァのひと】ヨシズミという後輩①はじめに

 

 

ヨシズミという後輩②

「足首をぐねったら終わりだ」そこの観点をぼくは重視しましたね





2/16(土)、週末ということでいつもと同じように夕方ぼくの家にヨシズミがやってきた。
(ぼくは土曜日も仕事なので終わったのを見計らってやって来る)

ちょうどこの日は、ぼくとヨシズミが大学時代所属していたフォークソング部の
先輩であるカメさんと、同回生のたーみー、そしてヨシズミと同回のありちかが
タンヴァにやって来てくれる予定だったので、二人してせっせと準備をし、
夜10時からは宴が始まっていた。

夜も更け、酒をたらふく飲んでの爆睡後の朝、ぼくは日本茶を淹れ、チャイを作り、
皆に振る舞いながらヨシズミに独占インタビューを開始した。




カメさん さっきボロ家のテラス出たんやけど山見えるやろ?むちゃくちゃきれいやった
 
フジモト ああ、あれ丹波の名山・三尾山ですね。きれいですよね〜

ヨシズミ あれなら1時間もあれば登れますよ。今から登ります?

フジモト なんだよおまえ。なんで今から登るんだよ。地元です感出しやがって

ヨシズミ いやあ、ぼく、これでも富士山登ってますからね

フジモト なんだよおまえ。そのドヤ感。そういえば前にも登った言うてたなあ

たーみー すごいな!富士山、しんどなかったん?準備とか大変やったんちゃうん?

ヨシズミ まあ大丈夫でしたね。準備っすか?うーん、そうですね〜(非常に考えた表情)

フジモト いやいや、準備全然してへんやん、靴なんか「コンバースのハイカット」で登頂したんやろ?

ヨシズミ 「履き慣れた靴で登れ」と聞いてたんで


     (一同爆笑)



履き慣れているであろうコンバースのハイカット



カメさん いやいやちょっと待ってくれ。履き慣れた靴は一個しかなかったん?

ヨシズミ いや、けっこうありましたよ

フジモト 数多ある履き慣れた靴の中でも、それでもやはりコンバースの、しかもハイカットを選んだんだね?

ヨシズミ そうです

フジモト それは色々と考えた結果、だったんだね?

ヨシズミ ぼくの靴の候補は、ランニングシューズとか、長時間歩いても大丈夫そうな底が分厚いスニーカーやウォーキングシューズなどもありました。
ただ、「自分の足首を守ってくれる」のはコンバースのハイカットだけだった。富士山には岩場がけっこう存在すると聞いていた。ロープだけで登っていく難所が多々あると聞いていた。「足首をぐねったら終わりだ」そこの観点をぼくは重視しましたね

フジモト それで選ばれたのが、コンバースのハイカットだったんだね?

ヨシズミ そうなります

フジモト でも、ぼくもこれまでの人生で何回かハイカットを履いたことがあるんだけど、結構足首のところ、プカプカするよね?

ヨシズミ しますね。してましたよ。ただ履き慣れてたんでそんな違和感はなかったですね

ありちか そんな感じで富士山ってほんまに登れるもんなん?

ヨシズミ 当日富士山を一緒に登ったのは10人ぐらいで、その中にガイドさんなどいなく、みなそこまでの登山経験者じゃなかった。どこからか「まぁ大丈夫みたいやね、小さい子もお年寄りも登りよってやし、毎日健康のために登ってる人だっているらしいよ。」そんな情報が飛び込んできた。じゃあ長時間登るわけやし、履き慣れた靴でいこう、そういう「判断」ですよね

フジモト わかった。じゃあ靴以外はどういう装備で臨んだんだろう?

ヨシズミ みなわりとしっかりとしたトレッキングシューズにトレッキングウェアでした。でもぼくは通常の冬服に少し厚着しただけでした。そうですね、わかりやすく説明させてもらうと「通常の冬服に冬服を重ねた感じ」ですね。

フジモト 「通常の冬服に冬服を重ねた感じ」とは?わかりにくいけど?

ヨシズミ 上はダウンを一枚多めに羽織る、下はパッチに普通のズボンを履いてその上にウインドブレーカーを着ました。

カメさん 富士山って登頂したらすごい高山病になったり、食欲がなくなるとよく聞くけど、ヨシズミは大丈夫やったん?

ヨシズミ たしかに一緒に登った10人のうち半分ぐらいは高山病にかかってましたね。ぼくはご来光を眺めたあと、おしることラーメン食って下山しました

フジモト ありがとうございました。




今回のインタビューを終えて

「彼は非常にバカだが、源義経と同じではないのか」



あの富士山を履き慣れたコンバースのハイカットで登りきり、見事にご来光を眺め、おしることラーメンを食って下山してきたヨシズミ。

ぼくはこの話を聞いて、「こいつはやはりバカだな、それも底抜けのバカだ」そう思った。

ただ、今、執筆しながら思うことは、男というのはこういう生き方をしがちでなないか、ということ。

このあらゆる情報が錯綜する現代の情報化社会において、入ってくる情報が非常に多く、意外と「本当の正解」がわからなくなっていると思わないだろうか。
算数のように「1+2=3」といった答えや、「難しい言葉の意味を辞書でひく」という「決まった正解」は簡単にネットで調べられるかもしれない。
ただ、今回のように「富士山を登る時の服装や靴はどうすればよいのか?」こういった質問の答えは、調べれば調べるほど、たくさんの「回答」を提示してくれるが、「本当の正解」はない。なぜなら天候はその登る日によって違うし、人によって体力面や寒さ、暑さの感覚は違うし、コンディションも異なるからだ。

そんな時に、「決断」するのは「自分」だ。

かつて有名な一の谷の合戦で源義経が「鵯越の逆落し」を決行した。『平家物語』によれば、義経は馬2頭を落として、1頭は足を挫いて倒れるが、もう1頭は無事に駆け下った様子を見て、決断を下し、先陣となって駆け下ったと言われている。

彼(ヨシズミ)も手にした情報をもとに考え、自分で決断した。

その結果が、靴はコンバースのハイカットを選択し、服装は「通常の冬服に冬服を重ねた感じ」 で臨んだ。

そして、無事に登頂してみせた。

よく人は「正確な正解」「決まった正解」がわかっていなければ、一歩を踏み出さなかったり、人に依存する。

でも、暗闇の中、一歩を踏み出したら、意外と視界はひらけ、「なんだ、大丈夫じゃないか」と思えるような、そういった場面はぼくらが思っている以上に意外と多いのかもしれない。

そんなことを今回感じた。

長くなったが、あとがきはこれぐらいにしておこう。

(少し考えすぎたかもしれない。あいつはただの底抜けのバカなのかもしれないのに。)



それでは、また来週お会いしましょう。



朝、フジモトボロ家テラス席にてチャイを飲むフジモト(左)と後輩ヨシズミ(右)



ど田舎の水曜日,フジモトユウキ