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2012年6月12日火曜日

【特集】細菌の話 第2話「酒をつくりたい」


酒をつくりたい


酒好きの貧乏学生が必ずといっていいほど閃く、今世紀最大の発明、それが


酒の密造


であることは、酒好きでない方もご存知の事でしょう。


酒が呑みたい
金がない
けど酒が呑みたい
とはいってもやはり金がない
えぇーい!酒が呑みたいんじゃ!
 
……造れないの?!?!


怠惰な生活で脳みそが腐りかけた学生の思考回路はだいたいこんなもんなんですね。


この世紀の大発明、ググればイッパツででてくるわけですが、日本国ではばっちり

違法

であることや、少々めんどくさい、安く造れるといっても金がない学生にとってはそれなりの金額(2千円くらいのもんだが)、
できるまで待てない、などなど密造酒の敷居は私も含め、ほとんどの堕落した学生にとっては少々高めに設定されています。



とはいえ造り方は簡単です。

参照サイトによると材料は

①米三合(約450グラム。普段食べているもので良し)
②ミネラル・ウォーター2リットル(別になければ水道水でも出来なくはない)
③米麹200グラム(生麹なら、150グラムで充分)
④ドライ・イースト少々(6グラムほど。生イーストの方が美味しい酒が出来るらしい。 こちらは大さじ一杯程度になる)
⑤ヨーグルトの種菌、つまりは乳酸菌1グラム
⑥日本酒少々(料理用でも可)

とあります。


ここで大抵の学生ゾンビ達は「めんどくさっ」と、いそいそとフトンから這い出て酒屋へと足を運ぶわけです(その結果、ガス、電気、水道と順次止められていく)が、



私の友人にひとり、どぶろく密造を敢行した者がなにやらいたとかいないとか。

そのどぶろく、私は呑んでいないのですが、「呑んだかも」と証言する人によると

「まずい…」「劇的にすっぱい」「いや、なかなかいける(本人談)」

などなど感想は様々だったようです。が、これは完全にかの有名な

火落ち

と呼ばれるものと思われます。



アル中細菌「火落菌」


秋山裕一著「日本酒」(岩波新書)の中の一節にはこうあります。

火落菌(ひおちきん)という珍しい名前の細菌がいる。この細菌はいろいろ棲むところはありそうなものなのに日本酒にだけしか生育しない。[中略]火落菌はアルコールがないと生えにくく、六%くらいのアルコール濃度のときがもっとも好適である。しかし、アルコールが二五%もある日本酒に生えるヤツもいる。まさに、アルコール依存症細菌、「アル中菌」である。細菌は一般に酸性を好まないのに、火落菌は日本酒くらいのやや酸性を好む。麹カビが火落菌の生育に必須の「火落酸」をつくる。火落菌が日本酒に好んで生えるゆえんである。





まじかw、と














私達がこれまで信じてきたアルコール殺菌ってなんだったの?






というか、酒に飢えた悲しきゾンビが苦心して造った酒が

アル中の細菌に先に呑まれ、結果、まずくなる




というなんとも情けない事態において、せっせと造った(と噂される)ぼくの友人(だったかな?)は











「いや、なかなかいける」



世知辛すぎるだろ……自然界厳しすぎるよぉ……





とまぁこのように菌の生育環境は極めて広く、私達が日頃慣れ親しんでいる殺菌方法、
例えば熱湯消毒、塩や酢での防腐(漬け物)などが挙げられますが、

海底火山から分離されたもので、105℃という水の沸点以上の高温で生育するもの、
逆に北極や南極の零下20℃ほどの池のなかで生育するもの、
海水のおよそ7倍にあたる25%の塩分を含む塩湖で生育するもの(塩分が低いと死ぬ)など、

地球上の至る所に菌がいる、いや、菌のいない所がない、と言えるかもしれませんね。

そう考えると人間の生育環境が狭すぎるのかな、と錯覚を起こしそうになりますが、

たぶん、そんなことはありません、大丈夫、落ち着いて。





あ、いちおう再度確認しておきますが、日本での酒の密造違法です。
(アルコール分を1%以上含む酒類の製造は、10年以下の懲役又は、100万円以下の罰金)



それでは最後に、先日とある友人に教えてもらったロシア人の狂い切った酒呑み動画を紹介して今週は終わりたいと思います。



それでは次回、細菌の話 第3話「腐っても発酵」
よろしくお願いいたします。






ひとり歩きの火曜日,ツノダヤマト