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2012年7月24日火曜日

【仕事情報】肉体労働の日々[豆腐屋編ー後編]

どうもこんにちわ火曜日担当ツノダです。

今週も引き続き、豆腐屋での労働の日々についてご紹介したいとおもいます。
どうぞお付き合いくださいませ。





魔の買い取り地獄


引き売りは雨の日も風の日も休まず毎日誰かしらが出ています。

その数、一日120人強。

すべての人が発注した商品を売り切って帰るのが理想ですが、
当然、すべての商品が売り切れて終わる日ばかりではありません。

売れ残る商品が出てくるわけですね。


では、売れ残った商品はどうなるのか。


売り子は基本的に週に1回各曜日をまかされているため次に倉庫に来るのは一週間後。
連日働いていても同じ倉庫に出勤するわけではありません。

どう考えても賞味期限が切れてしまいます。

ちなみに商品には
当日売り切り」「次の日売り切り」「二日後売り切り」の基本的に3種類
ほかに1週間もつものや、米や水などの特に気にしなくていいものもあります。

が、基本的には1週間待ってくれる商品はありません。


売れ残った商品は誰が売るのか


次の日に入った誰かが売らなければならないのです。

そして豆腐屋の看板商品である豆腐、これが「次の日売り切り」商品という衝撃。


これがどういうことかおわかりでしょうか?

そう、

前日に他人が発注し、売れ残り次の日に引き継がれたその豆腐はその日出勤した人の買い取り分となるのです。



前日が大雨で30以上の余った豆腐を2人で被らなければならないといった日も数回ありました。

いつもの1.5倍ほどの豆腐を積み込み、売らなければと焦る、
焦れば売れない、売れないと買い取り、売れないから残業、おいおいなにしてんだ俺

というサイクルにはまらない心の強さが必要となる、そんな仕事でした。



ちなみに同じく看板商品である生湯葉820円は当日売り切り商品であり、ビビって発注しないと本部から電話が入り喝を入れられる、そんな仕事でした。

ブチ切れて毎日20ずつ生湯葉を発注し売りまくった時期もありました。
最終的に3000円近くの買い取りをして、なにやってんだおれ、と我に返り一日8つほどに減らしたのもいい思い出です。


そうそう、忘れてはならないのが時給、ですよね。
なんと時給1200円。9時から6時までの労働で、中1時間半の休憩があるとしての計算で
一日9000円。
がしかし、実際には8時過ぎに倉庫に行き、荷物をつみこみ、大体19時に倉庫に帰り、片付け、といった流れなのでなかなかそうおいしい給料ではなかったかと思います。
買い取りもありますしね。


美しき出会いの数々


しかしまぁ辛い事ばかりではございません。

忘れられない楽しい出会いもたくさんありました。


毎週火曜日11時頃に同じ地域を廻っているコープの宅配お姉さん

ちょっとプリンがかった茶髪のロングヘアーをスタンダードな低めのポニーテールでビシッと決めて、
バッサバッサと重い荷物を炎天下の中さばいていくお姉さん。

昔はちょっとやんちゃしたんだろうな、というのを言葉や仕草の所々にのぞかせてくるお姉さんは、

絹ごし豆腐を1つ、「こんな暑い日にはヤッコだよね!」といって2週に1回くらい買ってくれるのです。


まぁ、惚れましたよね、当然。

一緒に呑めたら死ねる、そう思いましたよね。

「息子もこの豆腐好きでさぁ…」

という一言でこの恋は儚く散っていくわけですが、けだるくしんどい時間に現れるオアシスのような存在でした。



そして憎たらしくもクソかわいいクソガキ共(二人組)


気づいたらコーラおごらされてた

「なにしてんのー?」
「そのラッパ吹かせてー」
「このあとなにするの?オレこのあと宿題しないといけないから遊べないけど」

と、ひたすら後ろをついてくる暇な小学生のしゃべり相手になってやっていた(と私は思っていた)ら、
仕事手伝ってやったんだからコーラおごれと迫られおごるはめに。

後日お礼に給食ででたというスモモをもらうも、とてつもない酸味に悶絶。


それからほぼ毎週付きまとわれ、豆腐を冷やすために積んでいる氷を3つずつあげる、という恒例の流れが生まれることになるのですが、

氷3つでなんでこんなにも楽しめるのかというくらいキャッキャと氷で遊ぶ姿に心から感心すると同時に

おれ、わざわざ東京にきて一体なにしてんだろ

と、俯瞰の自分が現れる楽しくも貴重な時間でもありました。



おばちゃんの人情


そして忘れてはならない、といいますか、この仕事の主役ともいえるおばちゃん達

普段はなんのことはない世間話や、
「暑くてやってられない」
「あんたのとこの豆腐は高いよ安くしな」
「いいから置いてきな、お金はあるのよ、年金だけどね!」

などとなんとも心揺さぶられる話をしてくれるおばちゃん達


私が豆腐の引き売りの仕事を辞めるとなった時の反応は様々でした。

次にこのエリアを引き継ぐ人が自分が辞めたあとすぐ来るからよくしてあげてね、という事を伝えて廻ると、

「あぁそう、お疲れさん」
とあっさりなおばちゃんもいれば

「こんなしんどい仕事いますぐやめな!もう二度とこんな仕事するんじゃないよ!」
「あんただから買ってただけでだれからでも買う訳じゃないんだよこんな高い豆腐、馬鹿だねぇ!」
とツンデレなおばちゃん、

「私人見知りなんだよ、やっとあんたにも慣れてきたのにねぇ…次の人には私のこと教えなくていいから、あんたが戻ってきたらまた来て頂戴」
と、なんとも泣ける一言をくれるおばちゃんまで


すべてのおばちゃんにありがとうを言いたい


そして、私は二度と豆腐の引き売りはしないとおばちゃんに誓います。


おばちゃん、もう二度と会う事はありません、ありがとう!



そんなこんなで給料をなかなか払ってもらえない事や、自腹買い取り制度に疑問を持った私は

約4ヶ月ほどで豆腐の引き売りの仕事を辞め、八百屋の仕事をはじめることになります。



その話はまた後日、ということで今週はこのへんで失礼いたします。


今週もありがとうございました。
また来週よろしくおねがいいたします。
 ひとり歩きの火曜日,ツノダヤマト