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2012年9月12日水曜日

【コラム欄】コウジとの思い出

コウジとの思い出



小学生の頃、僕の一番仲の良かった同級生がコウジだった。

忘れもしない、コウジとは最初、ケンカばかりしていた。

そのケンカの理由が、「コウジと呼ぶな。コウジ君と呼べ。」
というものだった。


僕は昔から自分の中で違うと思ったことや、納得いかないことには
絶対妥協しない子供だった。(変なことに対してばかりである)

そういったことがあれば先生であれ、先輩であれ、僕は進んでケンカを
吹っかけるようなタイプだった。


今回のこの「コウジ君事件」もそうだった。


僕は納得がいかなかった。

みんな小学校に入り、仲良くなってきたところだった。

僕はみんなに「ふじもっちゃん」と呼ばれていた。

また、少年野球部で仲良くなった同級生には「ゆうき」と呼ばれていた。
(ちなみにコウジも同じ少年野球部だった。)

呼び名は実際なんでもよかった。

でも、下の名前で「ゆうき」と呼ばれる方が僕は好きだった。

だから、僕は小学生なりに考え、自分が嬉しいと思う呼び方で、
一番仲の良い同級生であるコウジにも下の名前で呼びたかったのだ!


でも、コウジは違った。

コウジは自分のことを「コウジ君」と呼ばれることを皆に求めていた。

周りの同級生は皆次々と、「コウジ君」と呼んでいった。

僕以外の男子がコウジのことを「コウジ君」と呼ぶのにそんなに時間はかからなかった。


僕はひとり「コウジ」と呼び続けた。

その度にコウジは「コウジ君と呼べ」と指摘してきた。

このやりとりは、いつもどうやって閉幕していたのか覚えていないが、
時には、にらみ合って、胸ぐらをつかみ合うようなことになったことは鮮明に覚えている。


時が経ち、僕は自然に「コウジ」と呼んでいた。

コウジも別に指摘しなくなっていた。

中学でも同じ軟式野球部に入り、仲は良いままだった。


あの頃のことをコウジは覚えているだろうか。

僕もこうやってmufufutimesでなんの記事を書こう、と考えていて
ふと思い出したぐらいの記憶だ。


もう一つ、衝撃的な事実を思い出した。


コウジは僕のことをちゃんと名前で呼んだことが一度もない。

いつも、「なあなあ」や「おっさん」と呼んできた。


そんなやつは僕だけじゃなかった。

小・中と野球部でずっと一緒で仲の良かったヨシモトもコウジに名前で呼ばれたことが
一度もなかったはずだ。

よく僕とヨシモトは二人で「なぜコウジは僕らを名前で呼んでくれないのか」議論していた。

コウジはいつもヨシモトのことを決まって「新喜劇」と呼んでいた。



ど田舎の水曜日,フジモトユウキ